この講座で「AI社員」と呼ぶのは、No.00の定義のとおり、役割と手順を決めて、仕事を任せるAIのことです。 この講座でまず作るのは、この意味のAI社員です。第4章の「役割メモ」が、その最初の一歩になります。
一方、みかみさん(発信者)は、もっと高い基準で「AI社員」という言葉を使っています。 社員として扱えるところまで期待値を上げられたスーパーなAIエージェント(自分で考えて作業まで進めるAI)だけを、AI社員と呼んでいます。
ただ「AI」と呼ぶだけでは、みかみさんは社員とは言いません。 みかみさんが「社員と呼べる」と言う条件は、次の3つです。
この3つがそろって人っぽさが一定を超えると、社員と呼んでも差し支えない、という考え方です。 これは高い基準です。最初から3つを満たす必要はありません。まず、役割と手順を決めて仕事を任せるところから始めます。
あわせて、「ボット」という言葉を説明します。 ボットは、AI社員を動かす入れ物の1つです。名前と役割を持つAIを、1体ずつ作って置いておけます。 動画では、Grok Bot(グロックボット)というサービスでボットを作っています。 公式の説明では、サインイン・アカウント・利用量はcursor.com側、共有ボットの紹介や規約の一部はdocs.x.ai側のページに載っています。つまり、2つのサイトが関わっています(2つの関係の詳しいところまでは、公式の説明で確かめられませんでした)。 Claude Codeの会話も、AI社員を動かす入れ物にできます。この講座の「AI社員」は、特定のサービスに限りません。
No.01〜04で、ゴールと今の状況(コンテキスト=AIが前提として知っておく今の状況)を1か所にまとめ、Claude Codeで毎日の仕事を回す形を見てきました。 この単元は、その上に「専門の担当者」を置く話です。 動画では、ゴールと今の状況の置き場にAddness(みかみさんの会社のゴール管理ツール)を使っています。 ゴールとタスクと今の状況を1か所で管理できるツールなら、考え方は同じです。
この単元の例は、デザイナーと、プロジェクト管理を受け持つPMです。 PMは、プロジェクトマネージャーの略で、仕事の進み具合や期限を見て、仕事を回す役のことです。 あなたの事業に置き換える時は、利用者さんなど、本人が分かる情報をAIに入れないでください。 名前などを伏せるか、AIに見せなくても済む形にしてから渡します。
○ 関係する単元:No.01(ゴールと今の状況)、No.04(Claude Codeで毎日の仕事)
○ 複数のAIに指示を出す形は、No.06(後で出ます)。ここでは「専門ごとに担当を分ける」ところまでを扱います
みかみさんは、デザインを担当するボット(名前と役割を持つAI社員)と、プロジェクト管理を担当するボットを作っていました。 デザインのボットは「自分の会社らしいデザインを出すためだけに生まれたボット」だそうです。
専門に分ける理由は、はっきり言っています。 簡単な仕事なら、1つのAIでも適当にできます。 でもデザインのように奥が深い仕事は、担当者として分けた方がいい、という考えです。 分けないと、何をどこに頼んだか分からなくなり、社員のように扱えません。
もう1つ、たとえ話があります。 AIには、一度に扱える力に限りがあります。ゲームのスキルポイント(キャラが使える力の量の数字)のようなものです。 台本づくりに力を使い切ると、ほかに回せる分が残りません。 だから、専門ごとに力を振り分けた担当を作ります。
動画のデザイン担当ボットは、次の流れで作られていました。
ここで大事なのは、AIが勝手に作り切らないことです。 AIは案を固めたあと、「こんな感じで行こうと思います。いかがでしょうか」と本人に聞いてきます。 本人が「いいよ」と言うと、そのままボットができるところまで進みます。
もう1つのポイントは、ボットに覚えさせる指示文(プロンプト=AIに渡す、役割ややり方を書いた文章)の作り方です。 指示文を作るのは難しい作業なので、みかみさんはClaude Codeに任せています。 難しい作業は、一番得意なAIに頼む。ボットの設定そのものは、シンプルに書き込めばよい。そういう分け方です。
やり方まで分からない時は、AIに頼めば大丈夫です。頼み方の例は、「デザイン担当のAI社員を作りたい。役割と、見る資料と、出来上がりの基準を、質問しながら決めて」です。
PMボットを作る時、みかみさんは「PMボットを作る」というタスクから、関係する情報をまとめてClaude Codeに読ませました。 PMボットとは何か、何のために作るか、作って何をしたいか。この背景がそろっているから、AIは的外れな質問をしません。
ここでの注意が2つあります。
人間も、今までの記憶を全部思い出して話しているわけではありません。 話題に関係する記憶だけが出てくるから、うまく動けます。 みかみさんは、この「どこまで思い出して、どう思い出すか」の効率が全てだと言っています。
○ 2026-11-05時点で公式ページで確認:動画で使われたボットの作成サービスは、公式ドキュメントでは「名前・役割・文脈を持つAIを複数作れる」機能として説明されています(https://cursor.com/docs/grok-bot 、https://docs.x.ai/grok-bot/faq)。ボットは並行して動き、パソコンを閉じても作業が止まらないことも書かれています。機能は変わるので、使う前に公式で見直してください
○ 動画の途中に「ボットごとに自分のコンピューターを持つ」という言い方がありますが、あとの説明では「1つのパソコンを共有している」と言っています。公式も共有だとしており、ボットを分けても安全の境界にはならないと書かれています。ボットに渡す情報は、全員から見える前提で選びます
○ 関係する単元:No.02(情報を1か所に)
PMボットが初めてできた時、みかみさんは「今は70点くらい」と言いました。 そして、「これに20点足せば90点になる」と続けています。
やり方は、実際に使って、悪かった所を直すことです。 デザインのボットも、最初は自社らしくない出来でした。 本物と見比べ、違う所を伝え、同じようになるまで直しています。
つまり、最初から100点の設定を作ろうとしません。 動かして、出てきた結果を見て、設定に戻す。この繰り返しで育てます。
みかみさんは、AI社員を作ることと、新しい社員を雇うことは「全く一緒」だと言います。 どちらも育てなければいけません。
もう1つ、AIならではの強みがあります。 動画では、PMボットがタスクの状況を見て、期限が近いものを知らせてくる場面がありました。 こちらが話しかけなくても、見回りをして、提案してくるのです。 人間でいう「自分から動く」が、ここで効いています。
みかみさんは、AIが文章をどう書いているかまで見る必要はない、と言います。 ただし、「お客さんとどうやりとりしているか」のような大事な所は見るべきだ、とも言います。 どこまで見るかは自分の能力によりますが、どこかは必ず見ます。
反対に「AIが何をやっているか全く分からないけれど、成果は出ている」状態は、よくないと言っています。 自分で理解できないことを、AIにやらせまくってはいけません。
○ よくある勘違い:「AI社員を作れば手放しで動く」ではありません。みかみさんは、AIは人が設定しないと使い物にならないと言っています
○ この「どこを見るか」は、No.07の人に残る仕事に続きます
動画の中で、みかみさんは仕事を進めながらボットを作っていました。 ボットを作っている間にも、ほかのタスクが並行して動いていた、と言います。
PMボットは、返事を待つ状態になると赤く表示され、本人の返事待ちが分かります。 思いついたタスクは、その場で手で入れておきます。後で忘れないためです。 使うだけで学びになる、というのが実感のようです。
第1章①で、専門ごとに担当を分ける話をしました。 その分け方の使い分けが、ここです。担当を分けること自体は同じですが、Claude Codeの中では分けず、ボットでは分けてよい、というのがみかみさんの考えです。
みかみさんは、Claude Codeは「1つの会話に1つの担当」と考えています。 いくつもの担当を1つの場所に混ぜると、どれがどれか分からなくなる、という認知負荷(考えることが増えて、頭が疲れる負担)の問題があるからです。 一方、ボットは同じ環境を共有していて、情報も引き継ぎやすいので、担当ごとに分けて作ってよい、と言っています。
これは動画の時点の、みかみさんの使い分けです。 あなたが今すぐ真似る必要はありません。まず1体作ることを優先します。
AI社員は、専門ごとに1体作る。背景の情報を渡し、案を確認してから作る。最初は70点でよいので、使って、直して、育てる。
自分の事業を1つ選び、AI社員1体分の「役割メモ」を書きます(10分)。 例は、Kindle出版の「紹介文の下書き担当」、ダンススタジオの「体験募集の文面担当」、訪問介護の「ヘルパーさん向けお知らせの下書き担当」などです。
介護の仕事を選ぶ時は、利用者さんの名前など本人が分かる所を伏せてから渡します。
問1 デザインの仕事のように奥が深い作業を、AIに任せたい時の考え方として、動画に近いのはどれですか。
問2 新しいAI社員を作る流れとして、動画に合うのはどれですか。
問3 最初にできたAI社員の出来が70点でした。動画の考え方に近い動きはどれですか。
出典:みかみ『【実演】そのAI、ほんとに「社員」って呼べる?年商30億AI企業社長が、うちのAI社員の作り方を見せます』(YouTube, 2026-11-02, https://www.youtube.com/watch?v=CvziSMLLJxc)