AI社員で回す会社講座

区分1 AIが動ける土台をつくる★★★

No.01 AIが自分で動ける2つの条件:ゴールと今の状況

AIに「これやっといて」と任せて仕事を進めてもらうには、2つのことを先に渡す必要があります。その2つ、ゴールと今の状況(コンテキスト)の考え方を学ぶ、この講座の入口の回です。全体の土台なので、しっかり読んでください。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 条件① ゴール
  3. 第2章 条件② 今の状況(コンテキスト)
  4. 第3章 2つをAIに渡す形
  5. 第4章 やってみよう
  6. 確認問題

第0章 前提知識

① AIエージェントとチャットAI :目的が違う

AIには、使い方で大きく2種類あります。 1つは、会話すること自体が目的のチャット型です。 もう1つは、頼まれた作業をやりきることが目的のエージェント型です。

動画の中で、みかみさん(発信者)は、この違いをこう説明しています。 チャット型は「いかに楽しく話すか」に合わせて作られている。 エージェント型は「言われたことをやりきる」ことを目指す、という整理です。

この講座で「AI」と書くときは、後者のことです。 たとえば Claude Code は、パソコンの中のフォルダにあるファイルを読み書きして作業するAIツールです。 (ツール=仕事に使うソフトやサービスのことです。)

② コンテキスト :AIが前提として知っておく今の状況

コンテキスト(AIが前提として知っておく今の状況)とは、「今、何がどこまで進んでいて、まわりがどうなっているか」という情報です。 あなたが新しい人に仕事を頼む時、「前任者は何をやったのか」「どこまで終わったのか」を伝えますよね。 あの「前提の情報」がコンテキストです。

この講座では、「今の状況」と書いたら、このコンテキストのことだと思ってください。 動画では「現在値」とも呼ばれます。地図アプリの「現在地」と同じ意味です。

③ AI社員と作業場

もう2つだけ、先に言葉を決めます。

④ この単元で出てくるツールについて

動画では、Addness(みかみさんの会社のゴール管理ツール)を使っています。 ゴールとタスクと今の状況を1か所で管理できるツールなら、考え方は同じです。 この講座は、特定のツールの使い方ではなく、「AIに何を渡すか」の考え方を学ぶ講座です。

○ 2026-11-05時点で公式ページで確認:Claude Code はデスクトップアプリで、自分のパソコン上のプロジェクトフォルダを選んで作業できます(https://code.claude.com/docs/en/desktop)
○ 関係する単元:「1か所に集める」方法はNo.02、AIに仕事を任せる毎日の回し方はNo.04(どちらも後で出ます)

第1章 条件① ゴール

① なぜ「言葉で起動する」ことが弱点なのか 必ず覚える

みかみさんは、AIが人間の部下と決定的に違う点から話を始めます。

AIは、起動した時(「おはよう」と話しかけた時)、渡された文字しか知りません。 どれだけ賢くても、その瞬間の記憶は、こちらが渡したものだけです。

人間なら、前から会社にいるので、少し言葉が足りなくても察してくれます。 AIは察せません。 かといって、毎回、言葉で一生懸命に全部を説明するのは効率が悪すぎます。

だから動画では、AIが自分で動ける状態にするために、言葉で起こした時に分からせておく必要があるものを2つに絞っています。 それが、ゴールと、今の状況(コンテキスト)です。

② ゴールがずれると、全部がずれる 必ず覚える

1つ目はゴールです。ゴールは、目指す状態のことです。

言葉は曖昧です。 たとえば「あっちの方向に行ってほしい」を、「右斜め前」と言ってしまったとします。 AIは「分かりました」と、右斜め前に進みます。 本当は少し違う方向だったのに、です。

動画では、この小さなずれが致命的だと言います。 AIが賢いほど、ずれた方向へ、速く遠くまで進むからです。 逆に言えば、ゴールが完全にそろっていれば、AIはかなり動けるようになります。

○ よくある勘違い:「ちゃんと指示を書いたから、ゴールは伝わっているはず」。指示(やること)とゴール(目指す状態)は別物です。指示だけ渡すと、AIは目指す状態を自分で想像して動きます
○ 「ゴールが決まっていない」状態で任せると、一番ずれやすい。決まっていない時は、AIに質問してもらいながら決めてもかまいません(第2章③)

③ ゴールには「完了の基準」をつける

ゴールだけでは、まだ「どこで終わりか」が曖昧です。 動画では、1つ1つのタスクに「完了の基準」(何ができたら終わりか)がついていました。

おもしろいのは、その完了の基準を、AIが書いていたことです。 みかみさんは「俺は書いていない」と言い、話しながら完了の基準が勝手に決まっていく、と説明しています。

ここから分かるのは、次のことです。 ゴールと完了の基準は、あなたが全部ひとりで文章にしなくてもいい。 やりたいことをしゃべって、AIに文章の形にしてもらい、あなたが「違う」「それでいい」と確かめれば足ります。

④ チャットとの違いの例:同じ「LPマニュアルを読んだ」でも

動画には、ゴールが足りないとどうなるかを示す例があります。 会社のマニュアルをAIに読ませたとします。 AIは「LPの作り方のマニュアルを読みました。LPを作ります」と言って作り始めます。 できあがったものを見ると、「そのLPじゃない」。

マニュアルは「やり方」です。 「どんなLPを、何のために作るのか」というゴールが渡っていないので、やり方どおりに、違うものを作ってしまうのです。

第2章 条件② 今の状況(コンテキスト)

① ゴールが分かっても、現在地が分からなければ動けない 必ず覚える

2つ目が、今の状況です。

ゴールが分かっても、AIは「今、自分がどこにいるか」を知りません。 目的地は分かっているのに、現在地が分からない地図アプリを想像してください。 ルートは出ませんよね。

動画では、現在地を取り違えると起きる失敗が出てきます。

逆に、ゴールと今の状況の両方が分かっていれば、あとは進むだけです。 途中で問題が起きても、避ける頭脳はAIにもう十分あります、とみかみさんは言います。

② 言葉で伝えると、現在地がぼやける

「今、こういうことをやろうと思っていて……」と言葉で説明すると、どうしても曖昧になります。 受け取ったAIは「この辺ですか」「ではこっちですか」と、近い場所で余計なことを始めます。

だから、今の状況は、言葉で説明するのではなく、最初から読める形で置いておくことが大切です。 動画の実演では、AIはタスクの本文や完了の基準、これまでの進み具合を読んで、「ゴールはこうですね。現在地はこうですね。行ってきます」と動き出していました。

③ AIには、チャットの履歴しか見えない :進み具合の置き場が要る

動画では、こう言われています。 AIは、ふつう「どのチャットで何が起きたか」しか分かりません。 だから「このタスクは5つの手順のうち、いま5番目です。1個目は終わっています」という現在の状況は、チャットからは分かりません。

動画のツールでは、タスクの中に、進み具合・完了したこと・その経緯・レビューの跡が残っていました。 AIはそれを読めば、今の状況が分かります。

ここは大事なので、整理します。

後者があると、会話を新しく始めても、前の続きから動けます。

④ 今の状況に入るもの

動画の実演から、今の状況として読まれていた情報を拾うと、次のようなものがありました。

あなたの事業なら、何でしょうか。 訪問介護なら、シフトや稼働の数字、ヘルパーさんとのやり取り。 ダンススタジオなら、生徒さんの人数と体験の状況。 Kindle出版なら、原稿の進み具合と売上の数字。 コンテンツ販売なら、購入者の数と問い合わせ。 このように、「今を判断するのに要る情報」を考えるのが、今の状況の第一歩です。

○ 「今の状況」に何を入れるか迷ったら:AIに「このゴールに必要な今の状況は何か、教えて」と聞いて、案を出してもらえます
○ 会社全体の今の状況(みんなが何をしているか)も、同じ考え方で1か所に集められます。やり方はNo.02(後で出ます)

第3章 2つをAIに渡す形

① 「作業場」に2つを置く 必ず覚える

ここまでの話を、みかみさんは「AIの作業場」という言葉でまとめています。

作業場とは、ゴールと今の状況が、AIが起きた瞬間に読める形で置いてある場所のことです。 「今、僕たちが何のために、何をやっているか」を、AIにきちんと伝えられる場所、とも言っています。

ポイントは、順番です。 AIが「おはよう」と起きる。 すると、ゴールを教えてもらえて、今の状況も読める。 そのうえで「行ってきます」と動く。

この状態を作れれば、あとはAIに任せて回せる、というのが動画の主張です。

② スキルや細かな工夫は後回しでいい

AIを使う人は、スキルやプロンプトのコツなど、細かな工夫をたくさん話題にします。 動画では、そうした工夫は「避け方」の話だと整理されています。

進む方向と現在地が合っていれば、途中でうまくいかなくても、次からこうして、と教えれば直ります。 本当に外せないのは、ゴールと今の状況です。 「これだけは絶対に外さない。これが外れたら話は終わり」というのが、みかみさんの言い方です。

だから最初に力を入れる順番は、こうなります。 先にゴールと今の状況。工夫は、その後で足せばいい。

③ どこに置くか、で迷う

ゴールと今の状況を、いざ置くとなると、迷います。 動画では、表計算、メモ、ドライブ、メール、カレンダーなど、置き場所がたくさんあって、どう表すのかが難しいと言われています。

動画では、その置き場所として、ゴールと今の状況を1か所で持つツールを使っていました。 ただ、特定のツールでなくてもかまいません。 大事なのは次の3つです。

置き場づくりの具体的なやり方は、No.02で扱います(後で出ます)。 この単元では、「2つを置く場所が必要だ」と分かれば十分です。

④ 実際にAIに頼むところ

動画では、置き場にあるタスクから、AIに依頼する流れを実演しています。 おおまかには、次の順です。

動画の中で、広告チームの数字を見るダッシュボード(数字を1画面に並べた表)を作る例が出ます。 みかみさんは、AIに「広告チームの数字出しボードを作りたいので、思いっきり作ってみて」と頼み、約18分待ったと言っています。 できあがった表は、実際の数字を使ったものでした。 本来なら1〜2週間かかってもおかしくない仕事だそうです。

ここで気づいてほしいのは、頼み方が短いことです。 短くて済んだのは、ゴールと今の状況が、すでに置いてあったからです。

⑤ AIが賢くなるほど、2つが効く

みかみさんは、AIが賢くなるほど、ゴールと現在地の距離が遠くてよくなる、と言います。 とても遠い距離でも、AIはすっと進みます。

ただし、遠くまで進めるのは、ゴールと今の状況が正しい時だけです。 ずれていれば、ずれたまま遠くへ行きます。 ここまで読んで、この講座の入口の考え方がつかめたと思います。

○ 向いている人:動画では、「大きなゴール(例:売上を伸ばす)を渡された時に、これをやってみよう、あれをやってみようと思いつける人」が、AIでよく伸びると言われています。思いつかなくても、AIに「何をしたらいいか」と聞けば教えてくれる、とも言っています
○ ゴールそのものも、AIと話しながら決められます。動画では、事業の目標を決める時に、状況を話して、AIに調べ物をさせて、そのまま「目標を立てるタスク」にしていました

第4章 やってみよう

10分:自分の事業で、2つを書き出してみる

  1. あなたの事業から1つ選びます(訪問介護・ダンススタジオ・Kindle出版・コンテンツ販売のどれでもかまいません)。
  2. 1か月後に、その事業で「こうなっていたい」というゴールを1文で書きます。例:「ダンススタジオの体験会に来た人のうち、入会する人を増やす」
  3. 完了の基準を3つ書きます。「何ができたら、このゴールは終わりか」です。
  4. 今の状況を、5行で書きます。次の5つから選んで、近い物を書いてかまいません。
  5. 今の数字(人数・売上・件数など)
  6. 今進めていること
  7. すでに決めたこと
  8. 困っていること
  9. 関わっている人(役割で書く。名前は書かない)

書いた紙を、AIに見せてみてください。 「このゴールと今の状況から、次にやるべきことを3つ教えて」と聞いてみます。 出てきた答えが「ちょっと違う」と感じたら、ゴールか今の状況のどちらかが足りていません。 それが、この単元でつかんでほしい感覚です。

注意:訪問介護の事業を選ぶ時は、利用者さんの情報をAIに入れる前に、名前など本人が分かる所を伏せてください。この演習では、人数や件数のような数字と、役割(ヘルパーさん・利用者さん)だけで十分です。

AIが自分で動けるように、ゴール(どこへ行くか)と今の状況(今どこにいるか)の2つを、起きた時に読める形で置いておく。工夫やスキルは、その後。

確認問題

問1 AIに仕事を頼んだら、すでに作ってある物をもう一度作り直してしまいました。この単元の考え方で、一番足りていなかったのはどれですか。

問2 会社のマニュアルを読ませたら、AIが作った物が「思っていたのと違う物」になりました。マニュアルは正しく読んでいます。理由として、この単元の考え方に合うのはどれですか。

問3 AIに毎回、状況を言葉で説明するのをやめたいと考えています。この単元の考え方で、一番近い方法はどれですか。

出典:みかみ『【実演】「これやっといて」で仕事が進む。AGI時代の働き方を設定から全部見せます!』(YouTube, 2026-09-08, https://www.youtube.com/watch?v=WTKNulWGmR8)